韮山(にらやま)反射炉は、江戸時代末期、韮山代官だった江川太郎左衛門英龍が、品川台場(お台場ね!)に設置する大砲を製造するために建てました。
実にきれいな建造物です。この斜交いになっている鉄骨は、オリジナルのレンガが倒壊しないように補助として後世に工事されたものだそうです。この鉄骨が、印象的だったので、オリジナルではないことに驚き。意外でした。一体感ありますよね。
韮山反射炉とは
ペリー艦隊の来航を受け、幕府もついに海防体制の強化に乗り出す必要に駆られました。そこで以前から、海防政策を幕府に進言していた江川英龍が指名されて、反射炉と品川台場の築造が決定されたそうです。
反射炉は、大砲を鋳造するためにつくられました。反射炉とは、鉄を溶かして大砲をつくる溶解炉のこと。炉の内部の天井に熱を反射させ一点に熱を集中。その熱で、釜石から持ってきた鉄を溶かして、大砲の型に流し込んで、冷やし固めて、中をくりぬいたそうです。1700℃まで耐える耐火煉瓦(河津町のもの)が使われています。
ガイダンスセンターは絶対に行くべし
実際、韮山反射炉は外から見ることができ、高さ16メートル余りの建造物で、見ても、ふーんという感じです。ぜひぜひガイダンスセンターに入場して、そしてガイドさんについて説明を聞いてみてください。丁寧に教えてくださいます。
尊敬される江川代官様
もちろん韮山以外にも反射炉は全国に11基ありました。実際に大砲を作って、そして現存しているのは韮山のみ。ガイドさんによると、江川代官様が地元の人々に愛されていたことから、韮山反射炉は大事に守られて今日に至ったとのことでした。
文化人、革新的技術者、種痘予防接種、パンの製造
書画、詩作、工芸品作成にも優れていて文化人としても誉れ高い江川代官。オランダ語の書物を読んで、反射炉づくりを提案して実行。驚いたのは、天然痘の予防接種である種痘を領民に対して行ったこと。彼が治めていた領民に対して行政として牛痘を接種をすることにより、天然痘の罹患者が圧倒的に低かったそうです。江川代官は、自身の子供二人にも施したことに触れた上で、当時の民衆の間で流布していた、種痘に対する得体の知れないものへの恐怖、迷信、噂などを打ち消したそうです。また、パンを兵糧として製造。英龍のパンとして町では販売されています。
世界遺産に指定され、歴史的に素晴らしい建造物になります。人格者だった江川代官の人となりにも感動です。外国人を案内して、素晴らしい日本の歴史にふれてみてくださいね。
韮山反射炉ガイダンスセンター
静岡県伊豆の国市中260-1
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